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構造について 56 2004.11.13記

 

写真のイスは前項で書いた、貫自体を後方にずらして左右の前後を結ぶ
貫間で接合しているイスの例ですが、前項で書きましたようにこのタイプ
は 前後の脚間の幅が同じであれば、左右の貫同士が平行になりますの、
で組みやすいのですが、写真のイスでは後脚間を絞っていますから、貫
同士の接合の容易さをを考えますと、上の左図のように後ろに下げた貫
を入れる部分は平行になるようにして、それ以後の部分は適当な R で絞
っていますので、左右の前後を結ぶ貫自体の加工は少し面倒になります。

また左右の前後を結ぶ貫は上の右図のように、直線で構成すれば貫自
体の加工は楽になりますが、丸部分の接合に角度がついてしまいます
ので、この接合部分に関する設計、加工精度が微妙になります。外観的
には結構スッキリしたものに成ると思いますので、これもなかなか捨てが
たい方法だと思いますが、こうしたところも前項で書きました湾曲した貫と
丸ホゾの接合の場合と同じように、持ち出し接ぎで接合してやれば、左右
の前後を結ぶ貫は加工には一手間かかりますが、平ホゾで強固に接合
する ことが出来ます。

持ち出し接ぎの方法も色々有るのですが、上の右図のような場合におけ
る一番簡単な方法の例を一つ書いて見ますと、二段目の図は丸部分が
持ち出し接ぎの場合の部材の切り出し方を上から見たところを表していま
すが、この場合は後足間を絞っていますので木取り自体も色々方法は考
えられますが、ここでは前後の脚を絞った分の前後の脚のホゾの寸法違い
を、ホゾ自体は角度を付けずに加工出来るように幅広の部材で勝手違い
にホゾを取り、点線のように貫自体を切り出します。
図から分かると思いますが、この時の持ち出しは貫部材の矢印ライン即
ち木端面までになりますので、持ち出した矢印の面は左右の貫同士が平
行になり、普通の胴付きの平ホゾで接合することが出来ることになります。
木の繊維の向きを考えれば分かると思いますが、持ち出し部分は弱くなり
ますので、矢印のコーナー部分は一般的に R (曲線)で処理します。また
面取りにおいても外観上に連続した滑らかな面取りを考えれば R が最適で
しょう。

背面より  

矢印の貫接合面(胴付き)においても同様に、目違いが有っては外観上
も面取りからいっても好ましくないので面一に仕上げますので一手間かかり
ます。持ち出しはホゾが長くなる傾向にありますが、ベニマツのような軟材で
はなるべく通しホゾで組みたいところですから、更にホゾが長くなる傾向にあ
りますが、ホゾの長い通しホゾは接合強度としては強くなりますが、矢印
の接合面がすいてくる可能性も高くなりますので、外観上の不都合が出る可
能性も高くなり、なかなか難しい面も持ち合わせていますので、持ち出し寸法
も含めて良く考えてください。
勿論上の左図の場合でも持ち出しにすることも出来ますが、加工の手間や
外観上の効果など色々な面から総合的に良く考えて、持ち出し接ぎの特徴を
生かすようにケースバイケースで取り入れてみてください。
下の写真の貫部分はその実例です。


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