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 Challenge 2                               << 前へ  次へ >>

の扱いについて 5  2002.6.21記

正方形の二方柾の角材に上図のように長手方向に対して、矢印
のような力を加えた場合の、 板目と柾目の向きの違いによるたわみ
を比べてみますと、二番目の図はその木口を表していますが、結果
矢印の柾目方向は小さく、矢印の板目方向は大きくなります。
理由は今まで書いてきたことなども加味して考えてみてください。
家具において部材としては強度的にどちらの向きで使用しても、まず
支障の出ることは無いと思いますが、長い部材においては丸部分
を他の部材とジョイントする場合には、たわみによるジョイント部への
影響を考慮しておく必要があります。

釘や木ネジの板目と柾目に対する利きを見てみますと、年輪は堅く
強度のある夏材と柔らかく強度の無い春材が交互に有りますので、
矢印の柾目方向は年輪に対して平衡になりますので、釘や木ネジ
は殆ど柔らかい部分にはいり堅い部分が利きません。
一方矢印の柾目方向は、年輪の堅く強度のある夏材を何層も貫き
ますので非常に良く利きます。
また矢印の木口に対しては、緑矢印の柾目方向よりもさらに利き
が悪くなりますので、釘や木ネジは各方向の利きの違いを加味して長
さや種類を変えて対処して行かなければなりません。

これは少し工法に類することになりますが、L字に接ぐ場合を考えて見
ますと三番目の図のようになります。釘や木ネジを使う場合に は通常、
釘や木ネジの頭がそのまま出ないように、座グリしてその穴 を丸棒で
埋めてしまいますが、そのために矢印の締め付け部分の有効板厚
は薄くなります。楕円部分が矢印のように柾目であれば、木ネジ
の強い締め付けに対して潰れやすくなりますが、矢印のように板目
であれば強く締め付けることが出来ます。
こうしたことからも板目を主体に板を活用していくことの有利さが分か
ると思います。

四番目の図は引き出しを上から見たところで、その下の図が横から見
たところです。木の裏表については前に書きましたので、ここでは板目、
柾目を考えて行きます。
上に書いたことからわかると思いますが、板目で引き出しを組めば強
固に組むことが出来ますが、板の伸縮から矢印の動きは大きくなり
ますので、本体と引き出しの矢印の空きを大きく取る必要があります
が、見栄え的にはなるべきこの空きは小さくしておきたいところですから、
柾目で組んだ方がこれに関しては有利になります。
こうしたことから引き出しなどでは、引き出しの機械的強度、前板の見
栄え(木目)、引き出し高さから来る矢印の空きと矢印の変化量な
どから総合的に考えて決めていくことになります。
後一つ大切なことは、なるべく引き出し四面の板を揃えることです。前板
が板目で側板が柾目というように、木目を変えますと板の伸縮が違いま
すので、接合面に負荷がかかり続けることになります。
直にどうかなるわけではありませんが、息の長い家具を考えるときには
こうした地道な積み重ねが大切になります。

「木の扱いについて 6」で続きを書いていきます。


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