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イスについて 21 2002.2.18記

(A) 座 3oペーパーコード編 (B) (C)
(D)ペーパーコードの座
 
 

 座面の形は写真(A)のスツールは四角ですが、(B)(C)のイスは後脚幅を
少し絞って有ります。当然編む手間は増えますし、フレームの設計も厄介
になり作る手間もかかりますが、イスの小型軽量化や全体の収まり、座の
フィット感や座の収まりなどを考えると、この編み方の実用的なダイニング
チェアなどには最適な形ではないかと考えています。
この後脚幅を少し絞ってカナコで編んだイスと比べてみますと、編み方の
性質上カナコでは少し座の収まりが決まらない感じがします。
この編み方も基本的には四角を編むものですから、後脚幅を少し絞った
イスでは当然、前後の巻き枠の寸法をそろえた状態を作っておかなけれ
ばなりません。
対処方法としては大きく分けて二種類有りますが、図の様な三角部分を化
粧編みして埋めていく方法と、図の矢印部分の前枠に捨て巻きして寸法
を合わせる方法があります。
編む手間や仕上がりを総合的に考えると好みや考えにもよりますが、捨て
巻きが良いのではないかと思います。
写真(B)(C)は前枠に捨て巻きして寸法を合わせ編んだものです。
化粧編みの方法も何種類か有りますが、その方法については最後で一つ
だけ書いておきますので、その他についてはここでは書き ませんので他の
書物などにあると思いますのでそちらを参照してください。
座の後ろを絞る事については「イスについて 15」で綿ロープの場合につい
て書いて有りますのでそちらも参照してください。

巻き枠についてはもう一つ、前後と左右の巻き枠をフラットにする場合と段
差を付ける場合があります。北欧の椅子やシェーカータイプのイスなどはこ
の段差を付けたタイプが多いと思いますが、写真のイスは全て段差をつけ
た物です。
この巻き枠に段差を付けた場合、座面が立体的になり、木の座でいえば座
面を彫った感じになり、左右の浮いたペーパーコードがクッションの役割を
果たし座り心地が良くなります。一方巻き枠をフラットにした場合にはクッシ
ョン性は弱くなり少し座り心地は劣ります。
またフレームにおいても巻き枠がフラットでは同じ位置にホゾを差し込む事
になりますので、強度的に厳しい構造になりますが、段差を付ければ当然ホ
ゾは互い違いに挿すことになり、強固に組む事が出来ますので好都合です。
この辺りの作りも一石二鳥で本当にうまく考えて作ってあり素晴らしいの一
語です。
欠点ではないですが、巻き枠に段差を付けた場合にはある程度座る向きが
決まってきますので、背の有るイスではまず問題ありませんが、スツールな
どでは写真(A)などの長方形の座では問題ありませんが、正方形の座では、
その機能から どの向きでも変わらない様に段差を付けずにおくことも考えて
いく事になると思います。もちろん背のあるイスでも無方向にするために段
差をなくする場合も有るでしょう。
段差の寸法としては座の使用にもよりますが20ミリ〜40ミリ程度にしておけ
ば良いと思います。

これらの事からペーパーコードでこの編み方をするイスでは後脚幅を少し絞
り、前後と左右の巻き枠は段差を付ける形は、もうどこも変えるところが無い
ほど完成された形だと思いますので、標準と考えて良いのではないかと思
います。

フレームに関してもう一つ、この編み方の場合には、図の矢印の座枠寸
法は強度に支障の出ない範囲でなるべく薄くしておくのが基本になります。
これは編んだり使ってみれば良く分かると思いますが、編み上がり時点で
は良いのですが、座は段々緩んで垂れてきますが、そのたれ具合に影響
してきますし、ここの寸法が薄ければ裏表が近づきますので垂れた場合に
は表中裏の三面で受けてくれる事になります。
また、編み上がり時点での一番低い所は編み方で多少の加減は出来るの
ですが、基本的には巻き枠に段差を付けた場合には中図の線の前後を
結んだラインになります。また、巻き枠がフラットの場合には下図の一点
差線の様に巻き枠のセンターラインになります。この事から巻き枠に段差を
付けた場合には多少融通は利きますが、巻き枠がフラットの場合には編み
あがりの時点で既にフレームより下がりますので、板厚を厚くすれば更に下
がりますし、そこに座が段々緩んで垂れくれば非常に居心地の悪いイスに
なってしまいます。

「イスについて 22」で続きを書いていきます。


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